発足宣言
2022年6月19日
令和国民会議(令和臨調)
共同代表 茂木 友三郎
本日、ここに、「令和国民会議」、通称「令和臨調」の発足を内外に宣言いたします。
令和臨調は、平成時代以来、先送りされてきた積年の課題で、とくに立場や党派を超えて取り組まなければ解決困難な課題に取り組むものであります。
たんなる「紙づくり」ではなく、一歩でも改革を前に進めるために汗をかきたいと考えております。そのための、合意形成活動、世論喚起に取り組んでまいります。
いま、世界中で、民主主義の危機が叫ばれております。極端で扇情的な意見、迎合的な意見が世論を煽る風潮も散見されます。こうした世界の現状を俯瞰しますと、その国によって事情は異なりますが、国内経済社会における積年の課題に対する取り組みに成功しなかった、あるいは、これを放置してきたことの結果である場合が多いように思います。
この意味で、日本も決して楽観視はできない、このように思うのであります。平成時代から先送りされてきた課題にいま取り組まなければ、日本の社会と民主主義も危機的な事態に陥ることになりかねない、こうした思いが、我々が令和臨調を立ち上げた背景にあります。
実際、日本の人口減少問題はますます深刻さを増しております。また、平成時代以来、30年余の日本の経済社会の停滞や、国力の低下を評して、しばしば、「失われた30年」「日本の衰退」「地盤沈下」といった言葉も耳にするようになりました。このような危機感は、いまや多くの国民の共有するところであろうと思います。
私たちには、こうした日本の現実を真摯に受けとめ、次の世代が希望をもてるような、持続可能な日本を作りあげる責務があります。令和臨調はそのための一助となるべく、時代認識や問題意識を共有する各界有志の皆さんとともに立ち上げます。
現在、主宰する日本生産性本部の呼びかけに応じ、経済界、労働界、学識者など各界の有志約100名の皆さんが本日の発足大会までに参加を表明されております。発足後も活動の輪を広げ、各界の多くの方々にご参加を呼び掛けてまいります。
令和臨調は、佐々木毅さん、小林喜光さん、増田寛也さん、私の4名の共同代表制で運営してまいります。
取り上げるテーマについてでありますが、当面、次の3つの課題を中心に検討を進めてまいります。
第一は、「統治構造改革」であります。政府、政党、国会、選挙など課題は山積しております。平成時代の諸改革を検証しながら、とくに、国会審議のあり方など、与党だけでも、野党だけでも、解決できない課題に取り組み、「令和の政治改革」に挑戦します。
第二は、「財政・社会保障」であります。現下のコロナ禍や食料・エネルギー価格の高騰等により政府支出の暫定的な増大は避けられないにせよ、財政・社会保障の持続可能性を担保するための取り組みに道筋をつけることは、もはや避けて通ることのできない、まったなしの課題であります。誰かが声を挙げねばならない、このように考えております。様々な危機をしっかり受けとめることができる、社会・経済政策ビジョンの国民的な合意形成を進めてまいります。
第三は、令和時代の「国土構想」であります。人口減少・少子高齢化・デジタル化に加え、コロナを契機に加速しつつある、人々の多様な生き方、暮らし方、働き方を踏まえた、次世代に引き継ぐに相応しい、日本社会の新たなビジョン、自治体のあり方等について合意形成に努めてまいります。
令和臨調では、こうしたテーマを議論するために、3つの専門部会を設けました。すでに各部会とも、精力的に検討を開始しております。
また、以上のテーマに限らず、検討が必要なテーマについては、そのときどきの内外情勢を踏まえながら、臨機応変にプロジェクトチームを設けてまいります。当面は、現下のロシアのウクライナ侵攻等により、戦後の国際秩序が歴史的な転換期を迎えていることを踏まえ、発足大会後、共同代表の下に検討チームを組織します。
また、合意形成活動の一環としては、平成時代から今日に至る歴史を振り返りながら、各界の方々のご経験や、課題認識を共有するための、ゆるやかな交流・議論の場として、「平成デモクラシー史検証会議」を立ち上げます。
併せて、次の時代を担う若い世代の皆さんとの対話や積極的な参加を呼び掛けるためのプラットフォームとして、「令和交流ひろば」も組織します。改革の主役は間違いなく、次の世代の若者であります。私たちは、様々な機会を通じて、運動の輪を広げてまいります。
本日ご来場のメンバーの皆さんの情熱と思いに支えられながら、これからの3年間をワンサイクルとして、駆け抜けたいと思います。
冒頭申し上げましたように、令和臨調の目的は、一歩でも改革を前に進めることであります。そのために、私たちは、参議院選挙後、政府、政党、国会議員、知事・市町村長の皆さんとも対話を開始いたします。
本日の発足大会は、参議院選挙後から本格的に始まる、こうした対話の一環として、岸田総理をはじめ、政党代表の皆さんをお招きし、令和臨調の発足と私たちの問題意識を正式にお伝えするとともに、大変短い時間ではありますが、主催者側との間で対話を行うことを、主たる目的として開催するものであります。
この意味で、本日の発足大会は、政治の側との対話の、まさに、「キックオフの日」である、このように位置付けております。
時代の閉塞と停滞、混迷を打ち破る、意義のある活動に取り組みたいと思います。
以上をもちまして、共同代表を代表し、大会開会のご挨拶と「令和臨調発足宣言」とさせていただきます。ありがとうございました。